Lead Innovation

研究開発支援のシステム開発

R&Dテーマの事業化支援システム(イノベーション推進マップ)

~本ソフトは、R&Dの「関係者間のコミュニケーション促進、重要課題の抜け漏れやチャンスロス防止」を主眼にしています~

本システムの開発目的・概要

近年の国内大手メーカーにおける研究開発の課題としては、以下が挙げられます。

  • 事業部門と本社の研究開発部門の連携が緊密化し過ぎて、「現在の事業を支援するテーマばかりに、開発リソースを投入」
  • 一方で、事業化直前になって、関係者のコミュニケーションミスによって、量産技術等での重要ポイントの検討漏れが増加
  • また、開発テーマ評価の際に、ターゲット市場の規模が重視され、成長が確実視されている市場ばかりを狙うように(しかし、誰もが注目している市場のため、過当競争に陥り、十分な収益が確保できない)
  • これらを踏まえ、既存事業との関連性が薄い”飛び地テーマ”も増やしても、事業化のノウハウがなく、開発継続状態にとどまっている

このような現状に対して、既存の開発テーマ評価法(ステージゲートやBMO法など)は、「大きな市場狙いや、開発技術と自社の適合度が密接な場合に点数が高くなる」フレームワークになっており、「現状の課題等を踏まえ、次のアクションをどのように行うか」までは網羅されていません。
一方、当社では、これまで、さまざまな大手メーカーの研究開発やグローバル展開に関与し、事業化ポイント(重要なチャンス・リスク要素や、その打ち手)を蓄積してきました。これらのノウハウをソフトウェア化し、製造業のR&D支援システムとして、開発・展開しております(2015年12月にバージョン1、16年6月にバージョン2をリリース)。
本ソフトウェアを利用する事で、先行開発から事業化に至るまでのチャンスやリスク要素の抜け漏れがなくなり、開発担当者と技術戦略部門、経営層との認識差異の見える化が可能になります。また、各R&Dテーマの強み・弱みの他、適切な事業化タイミングも把握できますので、次の課題解決アクションや最適な戦略方向性を打ち出しやすくなります。

システム概要

本システムの対象分野や利用目的、内容は下記のとおりです。

  • 対象分野

    自動車や家電等消費者向け商品、電子部品、機械部品、材料、化学、エネルギー機器など

  • 利用目的 ※( )内はユーザ様

    • 開発技術の強み・弱み把握(自動車メーカー様、総合化学メーカー様等)
    • 開発担当者と戦略部門の認識差異の把握と、最適な戦略オプションの検討(電子部品メーカー様、エネルギー機器メーカー様等)
    • 新事業開拓を担う人材育成(材料メーカー様、電子部品メーカー様等)
  • 主な内容

    中心となる機能構成は、下記3つになります。

1)開発から事業化に至る「あらゆるチャンスやリスクの見える化」

事業化に向けた重要なチャンスやリスク要素を、8つのカテゴリーに分けていますので(戦略一致度、人材特性、ビジネスプロセス一致度、ターゲット市場環境、マーケティング条件、ビジネスモデル条件、技術特性、製造特性)、その検討動向や課題などをインプット頂きます。

このインプット時に、検討の深掘りをサポートするため、各チャンス・リスク要素に関連する
・参考事例(自動車・家電・エネルギー機器・材料・産業機械・消費者向けロボットなど各数十ページ)
・チャンスやリスクの重要対応ポイント
も添付資料で自動提示
されます。

例えば、『製造特性:量産プロセスの標準化』の要素なら、「量産ラインや製法の標準化で、どのような市場変化が起こり、各社はどう対応してきたか」の事例を提示しています。

これら事例を参考にして、「チャンスやリスクにどう対応していくか」を詰めていく機能にしております。

検討動向や課題等をインプット後、8つのカテゴリーによるレーダチャートの他、「各チャンス・リスク要素の現況レベルを見える化する」図を表示します。
これらの図では、「重要なチャンス・リスク要素であり、対応アプローチが遅れている」項目が自動クローズアップされ、優先課題の見極めもできるようになっています。
また、開発担当チームと戦略・企画部門による2者評価画面になっていますので、その認識差異が明確になり、今後の重点対応分野の絞り込みや実施が容易になります(バージョン2では、コミュニケーションミス防止のため、2者評価ではなく、関係者全員の比較機能にしております)。

2)各チャンス・リスク要素の相互影響を踏まえた開発検討の促進

近年の市場変革は、コア部材や量産技術の変化、主力ユーザの構成や製品利用形態の変化、補完的なサービスやインフラの普及、関連政策の変更などが相互に関連して発生する事が増えております。
これらの変化を、網羅的かつ相互影響的に検証していく視点を提供する「事業環境マップ」や「各要素の相互影響シート(シナリオプランニング機能)」を実装しています。
(シナリオプランニングシート例)
①「市場の構造変化」
②「ユーザ企業の戦略変化」
③「部材・補完・競合技術のトライアングル変化」
④「新技術展開が大口狙いばかりになっていないか?」など10種類以上
また、本シートにおいても、前述した関連の参考事例をリンクしている他、「新技術の展開をどのように行うべきか」の戦略方向性を提示した資料も参照できるようにしています。

3)各テーマのポートフォリオ化、テーマの強み・弱みや事業化タイミングの提示

前述の100程度のチャンス・リスク要素は、4つのポジション軸にも分けられ(自社連関性、事業化タイミング、多用途波及性、非陳腐化度)、各テーマの現況インプット後、それぞれをポジショニング化します。
また、事業化タイミングや非陳腐化度などの各ポジション軸は、さらに3つの要素に分けて、「何の要素から優先アプローチし、強みを高めていくべきか(または弱みを解決すべきか)」を検討しやすくしています。

(自社連関性の3つの要素)
・各戦略連関度
・技術連関度
・ターゲット市場と自社のビジネスプロセスや事業モデルの連関度

(事業化タイミングの3つの要素)
・市場構造や競争環境の変化
・部材や競合等技術のライフサイクル変化
・ユーザ企業の戦略や消費者の動態変化

(多用途波及性の3つの要素)
・開発や製造容易性
・技術機能や利用メリットの明確性
・社会や補完財との一致度

(非陳腐化度の3つの要素)
・量産属人性
・特許取得範囲
・技術価値に見合うターゲット市場の事業環境

これらポートフォリオ化によって、開発技術の訴求点を明確にし、最適な事業化タイミングを計る事が可能になります。また、ポートフォリオの優先課題グラフで、その重点対応分野が明確になると伴に、各チャンス・リスクへの対応ポイントも提示しております。

このように、本システムは、あらゆるチャンス・リスク要素の見える化を図りつつ、関連する事例や対応策のポイントなどを参考に、「開発担当者様や戦略部門様が、事業化の方向性を適切に定めていく」支援システムになっております。
この「R&Dテーマ事業化支援システム(名称:イノベーション推進マップ)」は、業種や企業の特性に合わせて、チャンスやリスク要素などの変更も可能ですので、ユーザ様が独自に応用していく事もできます。